2016年4月29日金曜日

アナログは疲れる・・・そんな身体(耳)に成り果てた。

試聴会場
麻倉怜士先生による試聴会がビックロで開催されると聴いて出向いてみました。定例会のようですね(※ビックカメラの案内はコチラ)。
TEAC TN-350(※公式サイトはコチラ)、PORCAROLINE VOXOA T50(※同じくコチラ)、SONY PS-HX500(※同じくコチラ)という入門クラスのアナログプレイヤーの比較試聴。課題曲をカーペンターズ(Yesterday Once More)とウィーンフィル(こうもり)とし、その他数曲を適宜流す形で進められます。流石、麻倉御大の現場だけあって、各社担当者が出席されていました。

まずはTEAC。この赤いバージョンはビックカメラオリジナルで、海外ではアパレルのショップなどで使用されているデザイン強化バージョンだとか。シェルも一個、おまけでついているし、G.W.期間中、ポイントが倍!
でも、サウンドは、・・・厳しい。これならCDの方が聴きやすいし、何しろ醸し出す雰囲気が古臭い。「懐かしい感じ」はするのだが、アナログにする意味が感じられない。USB出力もあるのでお手軽ではあるのだが、アナログってこんな感じなのかと落胆。デザインは好きなのですが、残念。

次にPORCAROLINE。TOTOのJeffrey Thomas Porcaroを愛して止まない社長が香港のターンテーブル会社からの売り込みに思いの外気に入って輸入を決めた代物だとか(“VOXOA”のロゴは前からでも後ろからでも逆さにしても“VOXOA”だそうです)。オート機能がついているのでとっても便利。私は子供の時からレコード盤に針を落とすのが滅茶苦茶苦手なのです。
サウンドはより今風に仕上がっており、TEACよりずっと聴きやすい。特に、課題曲より松田聖子さんのシングルと石川さゆりさんの45回転LPの音の厚みや深みは突出して素晴らしかった。

最後はSONY。開発責任者の方がいらっしゃっていました。綿密に素材選びもして、シェルもカートリッジも変更不可。ターンテーブルも重心を下げるためにボディに埋没させているなど独自の考え方でチューニングを施している。有名な、かないまる氏(※ブログはコチラ)が後ろで糸を引いているようだ。やりにくかっただろうな・・・。
サウンドは更に情報量が多かったです。本機はUSBメモリにデジタルデータを吐き出す機能がついており、前もって落としてあった、課題曲の44.1kHz、198kHz、2.8MHzDSD、5.6MHzDSDも順に試聴できました。
技術の方曰く「プレイヤーの蓋を外していると、リッピングも周囲の音の影響を受ける」との発言。成程そうかもしれない。ところが更に驚いたのが、今回は通常聴く音量より少しだけ下げた状態で音を出しながらリッピングした時に良い音になるように調整したとか。芸が細かい・・・。
リッピングしたサウンドはそれぞれ全く違います。DSDは流石の一言。実は私、2.8MHzが最も心地よく感じたのです。アナログ出力より良いかも・・・。試聴会終了後、同社エンジニアの方に伺うと、確かにアナログよりデジタルの方が良いという人はやはりいるそう。
ここのところずっとデジタルの音ばかり聴いていたので、どうやらアナログのサウンドの情報量の多さに疲れているよう。何だか本当に疲れました。その結果、2.8MHz程度の音が一番心地よかったのでしょうか。
麻倉先生に伺うと、「2.8MHzは高音をカットしているから音がとろんとしている。だから聴きやすいし、聴き疲れしないのでは。」とのことだった。デジタルの音に犯されているのかもしれない。そんな耳に成り果てたのか!

ちなみに「春のヘッドフォン祭り2016」にも行ってみました。本当はREBECCAのNOKKOさんも登場するイベント(※同店ブログはコチラ)に出たかったのだが都合が悪く、雰囲気偵察だけで帰りました。
相変わらず盛況で、ヘッドフォン、イヤホンのブームはまだまだ続いているなと実感。野村ケンジさんによる自作ポタアン聴き比べ選手権があるのが気になります。こういうことがキチンとブームの下支えになるんですよね。私は外では音楽を聴かないので、取り敢えず雰囲気を浴びただけでその場を去りました。
ブース風景その1
ブース風景その2

2016年4月9日土曜日

見た目は小さいけれどBigな効果の仮想アース “Minimus”

仮想アースについては興味があり、アコリバのRE-9で悩んでいたこともある私(※過去記事はコチラ)。この度Entreqの試聴会がaudio unionアクセサリー館で開催されたので参加してまいりました(※告知ページはコチラ、製品紹介ページはコチラ)。プレゼンはオヤイデの「みじんこ」こと、荒川さん。
会場の様子
スピーカーはELAC BS312、プリメインアンプはTRIODE、CDPはAaccuphaseという布陣です。

先ずはアースケーブルを接続しないでスタートし、次からはオプションのアースケーブル(RCA)で以下の順番で聴いて行きます。曲はノラジョーンズ。
  • Minimus に1本だけ接続
  • Silver Minimus に1本だけ接続
  • Minimus 2台に1本ずつ接続
  • Silver Minimus 2台に1本ずつ接続
  • Tellus 1台に2本接続
  • Silver Tellus 1台に2本接続
実は最初のMinimus1台の時は思った以上に変化がなく、「こんなものなの?」と驚きました。しかしSilverにすると変化量は大きくなります。そして2台接続はそれ以上に変化を遂げます。当初、「価格を鑑みてMinimus1台にあわよくばアンプとCDPを繋げないか」などと考えていた私だけに、その結果にガックリ。圧倒的にSilver Minimus 2台が良いではありませんか・・。
価格を考えると、TellusシリーズよりMinimus複数台の方が良いことが分かります。(価格を考えずともMinimus複数台の方が良いかもしれません)

続いて、Silver Minimus 2台に接続するアースケーブルをRCAからXLRに変更します(曲はキースジャレットに)。
これまた大きく変わります。会場での挙手ではRCA派の方とXLR派の人はほぼ同数でしたが、私は圧倒的にXLRに軍配を挙げます。清涼感が違います。荒川さんによると、一般的にXLRの方が違いが出やすい傾向にあるそうです。

更に、アースケーブルを接続する機器による違いを比較します。これまで通りアンプ /XLR接続(2本)とCDP/XLR端子(2本)の比較です。
パッと聴きはCDPの方が余韻が綺麗に聴こえます。でも聴き続けると、CDPの方は若干甘いのでは、と感じるようになります。会場ではCDPに接続した方が好きという方が若干多めだったのですが、微妙ですがアンプの方がベターではないかと私は思います。
荒川さん曰わく、一般的にはプリアンプがベストと思うとのこと。また、AaccuphaseのCDPに関してはRCAの方が良いかもしれないとも。

さて、接続法は更に複雑になります(音源はサラブライトマン)。
  • Minimus 2台にXLRで接続
  • Silver Minimus 2台にXLRで接続
  • 2本のXLRをMinimusとSilver Minim1台ずつに接続
  • 1本のXLRをMinimus経由でSilver Minimusにデイジーチェーン接続
  • 1本のXLRをSilver Minimus経由で Minimusにデイジーチェーン接続
さすがに疲れてきてクラクラしてきました。潜在意識によるところが大きいと思いますが、Minimus<Minimus&Silver Minimus<Minimus→Silver Minimus<Silver Minimus→Minimus<Silver Minimus といった順。「Minimus&Silver Minimus」が「Minimus」「Silver Minimus」のちょうど真ん中に位置するとすれば、Silver Minimus側の半分の側に「Minimus→Silver Minimus」と「Silver Minimus→Minimus」が配される感じでしょうか(分かり難くてスミマセン)。デイジーチェーン接続が思った以上にSilver側に引っ張られる感じがしたのが印象的でした。「Silver」は若干キツ目になるので、「Minimus・Silver Minimusデイジーチェーン」パターンはアリだなと思います。

音源をCDPからアナログに変更します。
Silver Minimus 2台にフォノアンプ(フォノイコライザー?)のXLR端子から接続しますが、CDPの方が変化が大きいですね。
そしてアースケーブルを色々と変更してみます。アー ケーブルの線材によって大きく変化すると、「旬の音本舗福田屋」の福田雅光先生も言ってましたが、この時点でもう疲れ果てており、集中力が続いておりません。開発中の6万円想定のケーブルまで出動しますが、違いはあれど、もうどうでも良くなっていました。曲によってもどの組み合わせが良いか変わってきてしまいますし、選べないよな、と思ってしまいます。

更に更にスピーカーをStirling社の3ウェイに変更します。
Silver Minimus2台に、フォノアンプのXLR端子から接続したのと、フォノアンプのアース端子からYラグでデイジーチェーン接続したもの。うーん、どっちでもイイや・・・。ELACの方が変化が顕著ですが、いやぁ兎に角疲れました。

要は中身の素材と量が問題なのですが、荒川さん曰わく、製造元に問い合わせても詳しくは教えてもらえないそう。結局のところ、Minimus1台では内容物が足りない。TellusはMinimusの10倍位の重量があるけどMinimus2台の方が費用対効果が高い、という結果でしょうか。
参加者には特別価格が提示され、その場でSilver Minimusを2台購入された方を含めて4台が売れていました。お値打ち価格だったのは事実です。でも、買うならSilver Minimus1台+Minimus1台となるのですが、それにしても高額過ぎる・・・。結局諦めました・・・。「その前にまだやることあるしな」と、自らに言い聞かせつつ、その場を離れました。