ヨドバシカメラ秋葉で開催され、主催は音元出版、講師は福田雅光先生。
以前記したように(※過去記事はコチラ)、いち早くSAECの世界初のPC-Triple C採用電源ケーブル、AC-6000を試してみた。その後もずっと使用しているが、押し出しは少ないものの、クセの無さ、素直さは噂に違わず。その後SAECはAC-7000という、もっと太い製品をリリース。外見だけでなく音も太いようで「音の性格が異なる」との評価のよう。うーん、羨ましい・・・・。
では、アコリバ流の処し方や、福田先生の評価は如何にとイソイソと。
デモの流れは以下。(基本システムはLuxman、Dali、合計300万円位だそう)
- 先ずは当然ながら、ベーシックなケーブル(電源は同梱品、音声はAudioQuestっぽい、スピーカーは縒り線の透明なもの)で。
- パワーアンプの電源ケーブルだけをアコリバPOWER STANDARD-tripleC-FM 38,000円(※商品ページはコチラ)に変更。
- パワーアンプの電源ケーブルだけを特製ケーブル(後述)に変更。
- プリアンプ、CDプレイヤーの電源ケーブルも特製ケーブルに変更し、更に音声ケーブルをアコリバ(RCA:LINE-1.0R-tripleC-FM 28,000円、XLR:LINE-1.0X-tripleC-FM 38,000円)に変更。(※コチラ)
- 音声ケーブル両方をアコリバ(RCA:RCA-1.0tripleC-FM 168,000円。XLR:XLR-1.0tripleC-FM 188,000円)に変更。(※コチラ)
- スピーカーケーブルをアコリバ(多分)SPC-tripleC(※コチラ)に。
- スピーカーケーブルを先述のアコリバ特製ケーブルに。
- 低音を特製ケーブル、高音をSPC-tripleCのバイワイヤに。
- 仮想アース、グラウンンディング・コンディショナーRGC-24tripleC-FM 68,000円(※コチラ)。ケーブルをこれまでのPCOCC-A楕円単線から、テフロン絶縁のPC-tripleC楕円導体に変更したそうです。これも、最初はプリに、続いてパワーにつなぎ、違いを確認。
- おまけで、USBターミネーターRUT-1 18,000円(※コチラ)をCDプレイヤーに。
上記の「特製ケーブル」の正体は、余り市販していない、アコリバ製の屋内配線用のぶっとい単線ケーブルEE/F-2.6tripleCのことのよう。あくまでも屋内配線用なので、電源ケーブルとして使用するのは「実験用」であり、「自己責任」だそうです。(Amazonでは、大阪の雄、シマムセンが取り扱ってました※コチラ)
単線で、芯線の太さは、通常の商品がφ1.8なのに対してφ2.6だとか。確かにぶっとい、というか硬い!! 購入できる店は少なく、東京だとオーディオユニオンお茶の水アクセサリー館では取り寄せてくれた、という方がいらっしゃいました。アコリバの石黒さんは「公式サイトからメールで要望してくれれば特別に販売します」と仰っていました。購入したいけど、取り回しは厳しいなぁ。
さて、内容の詳細を。
まず冒頭に、福田先生、PC-Triple Cを熱く語ります。
ケーブルを「鍛造」するという嘗てない製法により、密度が高まり、(アコリバのサイトで詳しく紹介(※コチラ)) 、「癖が少なく、素直で、帯域が広く、エネルギー密度が豊かで解像度が高く、SNが優れており、欠点がない!可能性を秘めている!」と大絶賛!!
後は被覆や絶縁等で特徴づけできるそうです。
試聴は、マリンバ(マリンバデュオ ウィングス)、チェロ、女性ボーカル。なんと私が普段の比較試聴で使用するのと同じ構成ではないか!ちょっと嬉しい。
さあ、順を追って効果を私見で記します。
1.気持ち良い音。いいなあ、こんなシステム。
2.想像通り、皆が頷く程に違いが。音の厚みだけでなく、SNやら解像度やら、全部向上。言わずもがなですね。我が家でPC-Triple Cを使用した際に感じた「低音の押し出しの弱さ」は感じられません。
3.低音の太さが際立ちます。順当な改善。
4.輪郭がハッキリしました。音が立体的になり、感心しきり。
XLRケーブルはアースもキチンと接続してあり、“造りが違う”“これでこの値段は格安”と自慢されていました。
5.価格が大幅アップ。価格アップの理由としては、こちらは手作り。半田付けではなく、ネジ止め。プラグは一つ15,000円もする高級品。特にネジ止め用XLRプラグは市販されていないそうです。
福田先生曰く、「与える影響は、ケーブル50%、プラグ50%。プラグの影響は大きい」とのこと。そうそう、他の方が「プラグのメッキ」について質問されました。先生は“ロジウム”派だそうです。アコリバは特注の銀ベースのロジウムメッキを使用しているそうです。
さて肝腎の「印象差と価格差の関係」ですが、確かに解像度は格段に上がるのですが、低音が軽めになる印象。価格差を考えると「4.」の方が良いと感じてしまいました。
6.フッ素系の絶縁体に加え、ダミーチューブで効果を出しているそう。
ここで、それまで使用していたスピーカーケーブルを見て、福田先生がひとくさり。「一時期“極細多芯”が良いと言われたけど、今は絶対ダメ。芯同士で迷走電流が生じ、“にじみ”や“にごり”が生じてしまう。」とのこと。当然、音は飛躍的に美しく。音の響き、余韻が違います。
7.予想通りの結果。低音の出方が段違い。でも、取り回ししづらそうだなぁ・・・。
8.広がり感も出て、音の出方に余裕がある感じ。
ここでアコリバの石黒さんが「バイワイヤのスピーカーの場合は絶対にバイワイヤで接続しないと逆効果」「バイワイヤケーブルで繋いでもダメ」と熱弁を振るわれました。
9.「仮想アース」には興味津津。
最初はプリアンプに。効果覿面。“無し”だと高音域がキンキンしていたのが非常に和らぎ、聴きやすくなる。次にパワーアンプに繋ぎ替え。こちらも効果はあるが、何となく雑味はプリアンプの時より多い感じ。先生も「やはりプリの方が良いですね」と。
聴きやすくなり、SNも向上し、にごりも減る。再び先生「理由が解らないんですよ。ケーブルを替えると音が変わる。電流が逆流していないはずなのに、解説できないんです。」
アコリバの石黒さんも「不思議ですよね。つける前と後で電位差は無いんだけど、電磁波は若干減る。これが影響しているようです。」(といったことを仰っていました。よく理解できなかったけど・・・。)
10. これも凄い効果。福田先生も初めてだったようで、何回か付けたり外したりを要望して聴き比べされていました。「いやあ、効果がありますねえ。ビックリした。」
アコリバの石黒さんも「高いCDプレーヤーにUSBつける傾向があるけど、USBは通電しているから、機器を繋いでいなくても他の回路に影響を与えて、百害あって一利なし。」と断じる。
さて、本日の試聴会で最も印象的だった先生の言葉は次の二つ。
その1
「電源ケーブルは“運命線”。音声ケーブルは“生命線”」
・・・「電源が最も重要」という先生の言葉には“重み”と“納得”がありました。私の考えに間違いはなかった!
・ケーブルで音は確かに変わるけど、一番大切なのは電源ケーブルです。
・ブレーカーからの配線から替えたいけど難しい。そこで、まず、コンセントを替え、コンセントベースをつける。
・でも、壁コンにアンプのケーブルを直接繋いではダメ。ちゃんとしたケーブルを少し長めにとってテーブルタップをつなぐ。それだけでも状態は良くなる。必要ならばそこからさらに分岐させれば良い。
・電源は不思議で、電流が流れる以外のパーツで音が変わる。例えばタップの下にボードを敷く。ゴム足ではなく、ちゃんとした足をつけるべき。
さらに、試聴会の後、先生にお伺いしたのが「アイソレーショントランス」について。先生は「私は使いません」と即答。「ノイズがある場合は必要だけど、それ以外は使わない方が良い」とのこと。納得!でも、残念ながら、先生は、私愛用の電源フレッシャーAiTec5.35(※コチラ)を御存じなかった・・・。先生からすると“邪道”なんだろうなぁ・・・ちょっと哀しい・・・。
その2
「アクセサリーの善し悪しは“好き”か“嫌い”かではなく、“正しい”か“正しくない”か。正当な方法は絶対にある!」
・・・「こんなことは書けないんだけどね」と仰った上で先生はこのように語られました。深い!
その3
「アクセサリーに投じる金額はオーディオ本体の20%程度が限度。それ以上かけても、もったいない。」
・・・確かに。色々買い足す私のやり方が正しいとは決して思えないです、確かに。
嗚呼、楽しい試聴会でした。PC-Triple Cを開発された会社、プロモーションワークス(※コチラ)の方もお見えになっていて、こちらも熱く語られていました。現在の生産量は600kg/月ですが、2tにまで引き上げたいとか。
福田先生、そして、先生以上に熱っぽく、長く語ったアコリバの石黒さん、ありがとうございました。