2016年6月12日日曜日

「MQA」の素晴らしさは噂通りだった!

注目の音声圧縮フォーマット「MQA(Master Quality Authenticated)」の試聴会に出掛けてみた。またも麻倉先生の新宿ビックロでの月例試聴会で、今月のお題が「MQA」だったもので。
ビックロ 麻倉怜士先生 定期講演会

先ずは「MQAとは」。
曰わく、PCMではレートによって差はあるものの、音の立ち上がりから下がるまでがダラダラ。一方、MQAはキュッと立ち上がりパッと終わる。その結果、時間軸の解像度が高まり余韻が非常に美しい。そしてもうひとつの特長が「Origami」と称した圧縮技術。CD並みの転送レートでも高音質な再生ができるという。詳しくは価格コムに鴻池先生がレポートされているので参照ください(※価格コム紹介ページはコチラ:上記「MQAはキュッと立ち上がりパッと終わる」の図解もあります)。
※その他参考ページ:
 ■Philewebの開発者インタビューはコチラ
 ■推進役のMeridianのサイトはコチラ

試聴会はピアノ、弦、オーケストラ、ジャズなどの楽曲を、PCMとMQAの二つのフォーマットで次々に再生して行きます。
シンプルに申せば全く違います。PCMが曲によってはキンキン突き刺さって来るのに対して、耳あたりが優しく、成る程残響が美しい。一音ずつがふっくらしていて明瞭でありながら表現力があるというニュアンスです。

麻倉先生は以下のように表現されていました。
  • 192kHz/24bitリニアPCMは、情報量が多く、綺麗ではあるが単色系。加えて音の出方は真っ直ぐストレート。
  • 一方のMQAは、何より和音が綺麗。ドビュッシーの「月の光」のように音が何重にもなっている楽曲はそれが非常に出ている。低音、中音、高音それぞれにそれぞれの色がついているイメージ。
  • MQAは音の出方がグニュグニュ。
    ※注:「グニュグニュ」というのは解りにくい表現ですが、実際に聴くと良く解ります。グニュグニュなのです。反響がナチュラルで様々な音が重層になっている感じ、でしょうか。
  • MQAで聴くピアノ曲は、鍵盤のタッチ感が蘇る。響きのサブセットが見える感じ。倍音が美しく響き、合奏感と言うか、音の波の輻輳が聞こえる。
イタリアのピアノ「ファツィオーリ」を用いて、聖クローチェ美術館という石造りのホールで録音した「月の光」が一押しと言う、同席されていた音楽配信サイト「HQM(クリプトン)」の代表が仰っていました。「録音の現場にいたが、感動で涙が出そうだった。PCMの音を聴いた時は今ひとつだったが、MQAの音を聴いた時、現場の感動が蘇った。」
この言葉が理解できる程の違いが確かにありました。

実は試聴会の後で、クラシックの発表会に出向いたのですが、生のピアノの響きを聴きながら、「あ、音がグニュグニュしてる」と強く感じ、「倍音の美しさ」というニュアンスを思い出し、MQAの優秀さを改めて感じました。

でも、まだ対応しているDACは数が少なく、環境が整っているとは言えませんね。最も安いのが、4万円程度のMeridianのExplorer2(※公式サイトはコチラ)。選択肢が少なすぎますが、ONKYOも注力して行くそうですから期待しましょう。今日は聞けなかったけど、エンコーダーのアプリがが出てきてMQAフォーマットでCDのリッピングしても意味はないのだろうなぁ・・・。ま、いずれにしても楽しみです。