2016年1月21日木曜日

バッハ 無伴奏チェロ組曲(全曲) を色々と漁ってみた。

チェロの音色が大好きだ。
しかもソロが良い。ピアノは邪魔。
と言う訳で、バッハ:無伴奏チェロ組曲が何より心地良いのです。
そこで、ネット上の評価を見ながら色々と漁ってみました。同じ楽曲をここまで集めるのは初めて。中には猛者がいらっしゃって、311枚所有されている方も(※サイト管理者 T.S.さんのサイト「CD試聴記」はコチラ) 。桁が違いすぎますが、私が選んだ一覧を作ってみました。具体的な内容がわかるようAmazonのリンクもつけておきます。
総じて皆さん、この楽曲をリラックスし、愉しげに弾いていらっしゃるのが伝わってきます。

最初に手に入れたのが、このSACDでした。
Gavriel Lipkind (2007/4/3)


ネット上でベタ褒めの人が多い一方で、若干録音や弾き方に癖があると否定的な人もいらっしゃる一枚。でも私は好きです。残響音が豪勢に乗っかっていますが、浸れるので私には却って気持ち良い。SACDなので、響き、特に低音部の美しさが尚更。弾き方は「ご本人が心のままに気持ちよく弾いてるな」という印象です。
最初に入手したのがこの一枚だけに、その後の私にとってのこの曲の“基準”となってしまいました。

次は“さりげなく、やさしく”のこの方。
Yo-Yo Ma (2012/12/5)


このCDを出す以前にも一枚出していますが、ネット上ではこの一枚の方が、ご本人が気の向くままに弾いているとの評価があったのでこちらを選択。
聴いてみると、本当に軽妙な音。「上手なんだなぁ」とテクニックの鮮やかさが見て取れるような演奏は安心して聴くことができ、心地よくスッと中に入ってくる。朝のお目覚めに最適かも。朝の陽光を浴びながらテラスで弾いてもらっているような感覚に陥ります。

次に日本の大御所、堤剛さん。
堤剛 (2009/3/24)


正直言うと「まだご存命だったの?」という認識だったのですが(失礼!)、たまたまコンサートで生音を聴く機会があり、その音色の奥深さに痺れ、購入。この曲は3回目の録音と言うことになるのでしょうか。それにしても、人となりが音にも出るものですね。飄々と温かく、そして丁寧。生真面目さと年輪が上手く層を為し、最も自然体の演奏かもしれません。

次は、これもネットでの評価が高かったのでセレクトした一枚。
Janos Starker (2007/11/7)


ヤーノシュ・シュタルケル。一人、ホールの中央で弾いている・・・そんな姿が目に浮かぶ一枚です。随所に“溜め”があって、体の揺れのリズムが微妙にズレますが、それも味。ホールの響きをゆったり纏った美しい一枚です。

さて、続いて「ベーシックな一枚」と評されるこの盤。
Pierre Fournier (1996/12/20)


ピエール・フルニエ。発売年以上に古めの音に聴こえますが、楽器のせいかしら?
兎に角真面目に弾いている感じ。一音一音をきちんと伝えようと、そう、誰かに教え諭すような弾き方。面白味には欠けるけど聴きやすいかもしれません。

続きまして好きな人にはカリスマ的人気のこの方。
Mischa Maisky (1999/12/22)


スタート直後はもの凄く癖のある一枚。何しろテンポの速さに驚かされる。
最初は「どうなることやら・・・」という感じになるが、二曲目の「組曲 第1番 ト長調 BWV1007 Ⅱ.Allemande」以降は力みが消えて良い感じ。録音としてはONではなく、むしろ少しOFF過ぎるかなと言った印象。ホール後方で聴いている感じの聴こえ方。
演奏そのものは、やっぱり「抒情派」ですね、この方は。

これは絵づらが気になって選んだ一枚。
Alexander Kniazev (2004/4/21)


アレクサンドル・クニャーゼフさんは、病気やら事故やらを乗り越えて「奇跡のチェリスト」と言われているそうですね。「自分の信じるバッハ像を描き続けている」とCDジャーナル・レビューに書かれているそうですが、こちらも出だしは速い速い。でもその後はこれもまた非常に抒情的。嫋やかに音が紡がれます。通常二枚のCDが三枚になっているのですから思い入れたっぷりです。残響音はやや多め。おそらく繰り返し聴くことになるであろう一枚です。

これも絵づらで気に入って入手した一枚。
Roel Dieltiens(2010/7/3)


ロエル・ディールティエンスさんは「古楽大国ベルギーの名チェリスト」と称される方。この盤はインポート版故にAmazonでは日本語(例えば「バッハ 無伴奏 チェロ」)で検索しても引っかからず「Complete Cello Suites dieltiens」と検索してようやく発見に至りました。過去にもう一枚出しており、新盤も含めてMP3で入手可能です(※旧盤はコチラ)。新旧をAmazonの試聴で聴き比べると、旧盤の方はかなり昔の録音のような音に仕上げられています。
HMVサイトでの紹介文を見ると「無伴奏チェロ組曲の楽譜を1から見つめ直し、正攻法のアプローチでありながらも、ダイナミクス、フレージング、テンポなど、全ての面にこれまでの経験に基づいた独自の解釈を採り入れたディールティエンスのバッハ。(東京エムプラス)」とのこと。
残響音はやや多めで、チェロらしい低音を強調したサウンド。確かに節回しは独特です。この方の癖なのか、楽器を叩く音がものすごく大きく、まるでバックでコンガを叩いているかのように聴こえるほど。


日本人二人目となるこの方。
藤原真理 (2010/9/22)


つい最近再録音され、リリースされていますが、これは古い方の一枚です。新録音の方は48kHz/24bitではありますが、flac音源でも配信されていますね(※e-onkyoのページはコチラ)。因みにこの盤にはBlue-SpecCDとそうではないものと両方あるようなので注意が必要。Blue-Specの方が良い音、の筈ですよね??
さて、この盤の感想としては「優等生が模範演奏しました」という感じ。想いが籠った、というのではなく「淡々と正しく弾きました」という。e-onkyoの試聴で先に紹介の二回目の録音(2014年)と比べてみると、基本は一緒だなと思いますが、若干二回目の方が独自の節回しが込められているよう。あと、二回目の方がマイクがONで録られている感じでした。

急遽エントリーしたのが、アルナウ・ト-マス・レアルプ。
Arnau Tomàs(2014/12/2)


実は、Amazonで「無伴奏チェロ」で検索したら偶々見つけた盤で、Amazon Primeで無料で聴けるものですから聴いてみたという一枚です。この方、1997年にマドリッドで結成された「カザルス四重奏団」のチェリストで、見た目よりお若いのですね。巨匠の名を冠した四重奏団で、しかもチェリストですから、当然その実力は認められた方なのでしょう。
録音の方は残響音がテンコ盛り。演奏としては余り癖がなく、普通に聴ける感じ。但し、途中、ご本人の息遣いと思われる「シュー」という音が入っていて若干耳障り・・・。
彼以上に「カザルス四重奏団」に興味が擡げました。

そして、最後の一枚はその御大登場。
Pablo Casals(2000:Rec.1938.6.2)















「最後のカザルス録音」だそう。レーベルはクラシカ・ジャパンで非売品。偶々disk unionで見つけて購入した一枚で、ハイドン チェロ協奏曲第2番、ピアノ三重奏曲ト長と共に収蔵されています。Amazonでも見当たらない盤ですね。
古い録音はあまり好きではなく、カザルスも1、2枚しか所有していませんが、この盤もまた古風な音になっています。「ちょいと立ち寄って、サラリと弾いてみたよ」といった風情で、構えておらず、スラスラとテンポよく、「こんな感じだよね」と仰っているような音色です。

以上、相変わらずつたない感想でしたが、面白かったです。
突然、毎日繰り返しバッハを聴いている私を、奥さんはどう思った事でしょう??